本日はベンチプレスなど筋力トレーニングにおけるビッグスリーは体重が多いほうが有利なのか?これについて語りたいと思います。
筋力トレーニングの中で、ビッグスリーと呼ばれる大きな筋肉を使う種目があります。大胸筋を中心とした体幹部はベンチプレス、大殿筋、大腿四頭筋、内転筋、ハムストリングスからフルパワーを出力してバーベルを持ち上げるスクワット。
そして、足腰の力から出力される凝縮された高濃度エネルギーを使い巨大なバーベルを持ち上げるデッドリフト。これらは筋トレの種目の中でも可動域が大きいためビッグスリーといわれているわけです。
ビッグスリーと言われるだけあり、普通の人でも1年頑張ればどれでも100kgを超えることは可能です。そこで、トレーニーの仲間内でもこんな話を聞くことがあります。「挙上量を増やしたいならとりあえず体重を増やせ!」
簡単に言えば、デブになればベンチプレス、スクワット、デッドリフトなどは比較的すぐに上がるようになるだろうという考え方です。これについて私の考えについて書いてみました。
体重を増やすだけでビッグスリーの挙上量は増える?

バルクアップといいましてあえて増量する時期があります。ボディビルダーなんかはこの方法はよくやりますよね。その増量というのもあえて脂肪を多くするパターン。筋肉だけつけて脂肪は一切つけないパターンがあります。前者の方法はあえて脂肪をつけてから痩せるのが目的。しかし、どうしてそんなことをするのでしょうか?
1.栄養不足になりにくい
筋肉の上に脂肪をつけておくことで栄養不足になりにくいというのが一つの理由です。以前にもお話ししたことがありますが、筋肉は常に分解を行っています。「分解」「再生」「合成」これらを常に繰り返しているのです。
この中で「分解」の比重が大きくなれば筋肉は細くなり成長はしにくくなります。逆に「分解」の比重が小さく、「再生」「合成」の比重が大きくなれば徐々に筋肉は増えていきます。100%分解させないということは無理なので、如何にして「再生」「合成」を多くするかがトレーニーの課題です。
そのポイントの一つに、バルクアップがあります。エネルギー源を体中に纏っておくことで筋肉が消費されにくくなります。他にはエネルギーをそれだけ摂取するから筋肉の分解も最小限に抑えられる。ハードなトレーニングをするならその代り栄養も補給すべきです。
最近はあまり言われないかもしれませんが、昔は「沢山働いて、たくさん食べろ。」などと。私の祖父の世代ではそのような教育だったらしいです。動いた分しっかりと食べるというのは体を強くするという意味にもなります。
2.デフォルトの筋肉量を増やす
特に下半身が結果に表れやすいです。太っているということはその分のウエイトを常に体で支えているということになります。つまりは、普段から無意識にトレーニングを行っているということにもなります。
上半身が重くなれば下半身にそれだけ荷重が乗るので脚力が強くなります。これはアメリカのサイトのデータになりますので日本では多少異なりますが、運動をほぼしない人同士で、体重60kg、70kgの男性を比較した際に、8kgも挙上量が違ったのです。
10kg違うだけでデフォルトのパワーがこれだけ変わるので当然パワーアップのためにあえて脂肪をつけて太るという戦略は正しいのです。体重110kgの人の平均は運動をあまりしない人でも103kgも持ち上がります。
3.圧力を上げることもできる
もう一つ体重を増やす理由としては「圧力」を増やすことができる点です。たとえば、ベンチプレスもそうですが、大胸筋を鍛える種目とはいえ、大胸筋だけを使用しているわけでもありません。
ベンチプレスのフォームを見ると背中はベンチから浮いていますし、ブリッジを聞かせて足の踏ん張りを作っています。この時点で体全身の力を使っているといえます。全身で押し上げる力は体重が増えればその分強くなります。
その作用が使いやすいのはやはりビッグスリーでしょう。全身の力を使えるような種目は特に体重が大きいほど有利です。スクワットやデッドリフトなんてまさにそれを象徴しているようなものです。
4.体重とパワーが比例しないこともある
体重とパワーが比例しない種目もあります。わかりやすいのは面積の小さい筋肉です。常日頃から荷重がかかるからこそ筋肉は強くなりますが、それがなければ、体重差はほとんど関係ありません。
例えば、一番それが言えるのは握力です。握力は何かを握りこむ力なので体重差は大きく比例しません。プロ野球選手のアレックス・カブレラ選手は体重98kg、前腕37㎝なのに握力は68.4kgほど。
体格にしては握力は強くなかったのです。中村奨吾選手は体重79kgなのに握力が80.3kgもありました。このように、普段から体重がかかりにくいような場所というのは体重差により力の差が生じにくいといえます。
必ずしも体重を増やしたから強くなるとは限らない。

これまでの説明からも、あえて脂肪を体に纏うことによりデフォルトの荷重量が増えるため筋肉もそれだけ大きくなるとお話をさせていただきました。ただ、現実問題、太れば何でもよいということでもありません。
1.100kgを大きく超えているか?
ビッグスリーのいずれも挙上量が100kg以上になっていない時点で、それは体重の問題ではなくトレーニング内容の問題と考えられます。ベンチプレス100kg程度なら体重が50kg台でも挙上できる人は珍しくもなんともないです。
そのため、もし、現在のベンチプレスマックスの挙上量が100kgに満たないのであれば体重よりも、「トレーニング内容」「トレーニングフォーム」「生活習慣」に問題があると考えたほうが良いかもしれません。
2.神経解除のトレーニングをしていない
筋力を強くするには筋肉を大きくすることも重要ですが、握力の理論のように「筋肉量=パワー」は完全に一致するものでもありません。そこに、何が必要なのか?「神経の開発」になります。
ウエイトトレーニングをやっている人なら経験はあると思いますが、筋肉量が増えるスピードよりもパワーが上がるスピードのほうが早いです。筋肉はちょっとやそっとのトレーニングでへ売るものではありませんが、パワーは数か月で多少は伸びるものです。
なぜなら、元々人間は脳に力を制御されています。それを強い負荷をかける。限界に近い重量を筋肉に加え続けることで、脳が「もっと力が必要だ」と判断すると徐々に力が解放されてくるのです。
だから、「とにかく持ち上げる!」「限界重量を突破する!」「強いグリッパーを握りこむ」と気合いを入れながら、念を入れながらトレーニングを行うことで強い力が手に入ります。簡単に言えば、マックス重量更新のトレーニングをすることが重要だということです。
3.筋肥大のレップ数で行っていない
筋肉を大きくするのに適した重量とレップ数は最大筋力の80%の負荷を7~12回程度を1セットとするトレーニングです。トレーニングメニューの組み方はいろいろとありますが、どれが良いのかわからない場合は、ドロップセット法を行うとよいです。
ウォームアップは軽い重量から筋肉を温める。重りになれるために行います。これも人によってどのぐらいの回数で行うかが変わってきますので何ともいえませんが、例えばベンチプレスのマックスが90kgであれば、RM計算式に基づくと67.5kg×10回をメインセットにできます。
となると、30kg×5、40kg×3、50kg×1、60kg×1、と筋肉を重さに慣れさせて力が入りやすい状態にしてからメインセットである67.5kg×10レップを行います。それからクールダウンに入り、5kg~10kg落とし、10レップを1セットとしたものを残り2セット行います。他にも可動域は重要です。ベンチプレスも胸まで落とすのと、
その半分までしか落とさないのでは効果も全然変わってきますから大きな重量でトレーニングを行うことを考える前に可動域を考えたトレーニングのほうが効果を出しやすいです。
筋トレと体重の関係まとめ

いかがでしたか?筋トレの挙上量を増やすためにあえて体重を増やすことはとても有効な方法です。体が重たくなればその分、負荷もかかりやすくなるから筋肉の成長も活発になるというのが狙いです。
圧力も増えますので、体重60kgを70kgに増やしたとき、これだけでもビッグスリーの挙上量を増やすことはできるでしょう。しかし、体重が増えるからと言ってそれだけで筋肉の成長が見込めるわけでもありません。
正しいトレーニングを行ったうえで体重を増やすことで筋肉量も力も増えるということです。ですので、最後にもお伝えしたように、正しいトレーニングを行わず太るだけ太るのではあまり意味がありませんので…